ジャパンケネルクラブ(JKC)が主催するドッグショーとは?

ドッグショー

こんにちは!

静岡県浜松市にあるミニチュアシュナウザー専門の犬舎、ESTRELLA(エストレージャ)の内山です。

今回は、日本で最も権威のあるドッグショーのひとつ、ジャパンケネルクラブ(JKC)主催のドッグショーについてお話しします。

ドッグショーは愛犬家やブリーダーにとって非常に特別なイベントであり、犬の美しさや品格、そして犬種の保護と維持が大きなテーマとなっています。

まだドッグショーを見たことがない方にも楽しんでいただけるように、ショーの目的や審査内容、そして注目の「賞」についてご紹介します!

ドッグショーの目的とは?

ドッグショーは単なる犬のコンテストではありません。

ショーに参加する犬たちは、その犬種の理想的な標準(スタンダード)にどれだけ忠実であるかを競います。

この「スタンダード」は、長年にわたり犬種ごとの特性が保持され、次世代に正しく引き継がれていくために重要な指針となります。

特に、純犬種の保存はドッグショーの大きな目的の一つです。

純犬種が正しい形で育成・繁殖されることで、その犬種の健康や特有の性質を維持でき、さらにはミックス犬が誕生する多様性を生み出す基盤にもなっています。

ミックス犬にも素晴らしい魅力がありますが、純犬種がしっかりと守られているからこそ、その魅力が生かされるとも言えるのではないでしょうか。

ドッグショーの歴史

ジャパンケネルクラブは、1949年に設立され、以来、国内外でドッグショーの開催を続けています。

ドッグショーはもともとヨーロッパで始まった文化で、犬種の保存や犬文化の普及に努めてきました。

ドッグショーはその一環として、国内外の愛犬家やブリーダーたちに支持され、現在では国際的な大会も開かれています。

日本でもこの伝統を引き継ぎ、純犬種の保存と発展に寄与しています。

審査内容

審査は非常に厳密で、犬の外見的な美しさだけでなく、性格や動き、全体的なバランスが評価されます。

審査員は各犬種ごとに定められた基準に基づき、以下の6つポイントを見ます。

1 , タイプ

ある犬種の特色を示す特有の質のことで、スタンダードの本質の具体化をタイプといいます。

2 , クオリティー

タイプで表現された特色(犬質)の充実度や洗練度のことを指します。

3 , コンディション

スポーツ選手がコンディションに気を配るように、犬も当日の健康状態や精神状態の調整が必要です。

4 , サウンドネス

精神的にも肉体的にも健康な状態であるか確認します。おびえたり過度に攻撃的であったり、骨格や筋肉の状態や、歯の噛み合わせが悪くてはいけません。

5 , バランス

いくら一部が秀でていても、全体の調和がとれていなければいけません。魅力的な各部のポイントが全体の感じを損なわず、かえってその犬全体を魅力的にしていることが大切です。

6 , キャラクター

ドッグショー会場の中を他の犬と歩く時でも、何か光り輝くものがある、ひときわ目立つマナーがいいというような魅力もドッグショーでは大切なことです。

一般社団法人 ジャパン ケネル クラブ
ドッグショー審査基準と審査の実際

ドッグショーの流れ

JKCのドッグショーには非常に多くの犬種が参加しますが、それぞれの犬種には標準(スタンダード)が定められており、その基準に最も適合した犬が評価されます。

審査はトーナメント方式で、最初の審査は犬種ごとに行われます。

犬種別審査:ベストオブブリード(BOB)

出場する犬は、オスとメスに分かれ、さらに年齢や所持資格別にベビーパピークラスジュニアインターミディエイトオープンワーキングチャンピオンベテランなどのクラスに分かれて競います。

その代表の中からオス犬の中で最も優れた犬が「ベストドッグ(BD)メス犬では「ベストビッチ(BB)に選ばれます。

ベストドッグとベストビッチが競い合い、最も優れた犬に「ベストオブブリード(BOB)のタイトルが与えられます。

グループ審査:ベストイングループ(BIG)

JKCのドッグショーでは、全ての犬種が10のグループに分類され、それぞれの特性や役割に基づいて審査が行われます。

これらのグループは、犬種の起源や用途、特徴に基づいて、国際畜犬連盟(FCI)による10のグループに分類されています。

  • 第1グループ(牧羊犬・牧畜犬)
  • 第2グループ(使役犬)
  • 第3グループ(テリア)
  • 第4グループ(ダックスフンド)
  • 第5グループ(原始的な犬種・スピッツ)
  • 第6グループ(嗅覚ハウンド)
  • 第7グループ(ポインター・セター)
  • 第8グループ(7グループ以外の鳥猟犬)
  • 第9グループ(愛玩犬)
  • 第10グループ(視覚ハウンド)

第1グループ(牧羊犬・牧畜犬)

牧羊犬や牧畜犬として、主に家畜の管理や誘導を行っていた犬種のグループです。

知能が高く、訓練性に優れた犬が多いです。

例:ボーダーコリー、ジャーマン・シェパード・ドッグ、シェットランド・シープドッグ


第2グループ(使役犬)

荷物を引いたり、警護をしたりと、力強さと耐久力を求められる作業を担っていた犬種のグループです。

大型犬が多いです。

例:シュナウザー、セント・バーナード、ドーベルマン、ロットワイラー


第3グループ(テリア)

ネズミや小動物の駆除を目的とした猟犬で、勇敢で機敏な犬種のグループです。

小型から中型の犬種が多く、強い独立心を持っています。

例:ヨークシャ・テリア、エアデール・テリア、ジャック・ラッセル・テリア、スコティッシュ・テリア


第4グループ(ダックスフンド)

ダックスフンド専用のグループです。

もともとはアナグマ狩りの猟犬として活躍していた犬種で、短い脚と長い体が特徴です。

例:スタンダード・ダックスフンド、ミニチュア・ダックスフンド


第5グループ(原始的な犬種・スピッツ)

スピッツ系の犬や原始的な性格を残している犬種が含まれます。

多くは北方の寒冷地に適応した犬種で、厚い被毛を持っています。

例:柴犬、シベリアン・ハスキー、秋田犬、ポメラニアン


第6グループ(嗅覚ハウンド)

優れた嗅覚を持ち、追跡や猟に使われていた犬種のグループです。

匂いを頼りに長距離を走り、猟獲物を追うことが得意です。

例:ビーグル、バセットハウンド、ブラッドハウンド


第7グループ(ポインター・セター)

鳥猟犬として使われていた犬種のグループです。

獲物の位置を示す「ポイント」や「セット」と呼ばれる動作が特徴です。

例:イングリッシュ・ポインター、アイリッシュ・セター、ゴードン・セター


第8グループ(7グループ以外の鳥猟犬)

主に水辺やフィールドでの猟に使われていた犬種のグループです。

獲物を回収(レトリーブ)する役割を持ち、泳ぎが得意な犬種が多いです。

例:ラブラドール・レトリーバー、ゴールデン・レトリーバー、アメリカン・コッカー・スパニエル


第9グループ(愛玩犬)

主に人間の伴侶として飼育されている小型犬が多いグループです。

愛玩目的で繁殖されたため、外見が美しい犬が多いです。

例:プードル、チワワ、シーズー、パグ


第10グループ(視覚ハウンド)

優れた視力を持ち、視覚で獲物を追う猟犬のグループです。

細身で足が速く、広い場所での追跡に向いています。

例:グレイハウンド、サルーキ、アフガン・ハウンド


各グループでのトップは「ベストイングループ(BIG)として表彰され、次の最終審査へと進みます。

最終審査:ベストインショー(BIS)の栄誉

ドッグショーの最終ステージでは、各グループのトップ犬が集まり、「ベストインショー(BIS)」が決定されます。

審査員は、各グループのトップ犬の中から、スタンダードに最も忠実で、かつ全体的に優れた特徴を持つ犬を選びます。

この評価は犬の外観だけでなく、動きや性格、さらにはパフォーマンスも考慮に入れられます。

ベストインショーに選ばれる犬は、全参加犬の中で最も優れた犬とされ、その栄誉は非常に高いものです。

JKCドッグショーで入賞することは、単なる賞にとどまりません。

特にベストインショーに選ばれることは、犬の血統やブリーダーの繁殖方針が正しかったことを証明するものであり、非常に名誉なことです。

ドッグショーに出場するためには、日々のトレーニングやケアが欠かせません。

犬だけでなく、私たちハンドラーやオーナーも共に努力を積み重ね、その成果として入賞を果たします。

特にベストインショーの栄誉は、犬とオーナー、そしてハンドラーにとって一生の思い出となります。

終わりに

ジャパンケネルクラブのドッグショーは、単なる美の競争だけでなく、犬種の歴史と未来を守る場でもあります。

純犬種の保護は、犬と人間との関係をより深め、次世代の犬たちが健やかに育つための基盤です。

ぜひ一度、ドッグショーを観戦してみてください。

その中で感じられる犬たちの品格や美しさは、きっと感動を与えてくれるはずです。

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