愛犬のストルバイト結石に悩む”あなた”へ

パートナーを迎えてからの暮らし

こんにちは!

静岡県浜松市にあるミニチュアシュナウザー専門の犬舎、ESTRELLA(エストレージャ)の内山です。

愛犬が病院の検査で尿路結石の「ストルバイト結石」と診断され、不安に感じている飼い主の方も多いと思います。

なので今回は、尿路結石の「ストルバイト結石」の原因、症状、予防方法、そして食事面について詳しくご紹介します。

愛犬の健康を守るために、ぜひお役立てください。

尿路結石とは

通常は尿中に溶けているミネラルなどの成分が、何かしらの理由によって溶けきれなくなり、尿路内で結晶化、さらに結石へ形成したものを「尿路結石」といいます。

結石が形成された部位によっては、膀胱結石や尿道結石などと呼ばれることがあります。

結石の種類はさまざまですが、わんちゃんの場合「ストルバイト結石」と「シュウ酸カルシウム結石」が多く、これら2種類で結石全体の約80%を占めていると言われています。

尿路結石の主な症状

尿路結石の症状はわんちゃんによって異なりますが、以下のような症状が見られます。

  • いつもはしない予想外の場所での排尿はいにょう
  • 頻尿ひんにょう(尿が近い、尿の回数が多いといった症状。)
  • 血尿けつにょう(尿に血が混じる症状。)
  • 排尿痛
  • 排尿困難

結石が尿道に詰まって尿道が閉塞すると尿の排泄することができなくなり、そのまま放っておくと命にかかわる危険な状態になることもあります。

ストルバイト結石になりやすい子

ストルバイト結石は、特定の犬種で特に発生しやすいと言われています。

例えば、以下の犬種や性別のわんちゃんは注意が必要です。

  • 犬種:ミニチュア・プードル、ミニチュア・シュナウザー、ビション・フリーゼ、シーズー、ラサ・アプソなど…
  • 性別:女の子(メスはオスに比べて尿道が短く、細菌感染を起こしやすいため。)

ストルバイト結石が形成する原因

愛犬における主な原因は、細菌感染です。

黄色おうしょくブドウ球菌や他の細菌が尿路に感染すると、細菌が産生する酵素によって尿中の尿素が分解されてアンモニアが作られ、尿のpHピーエイチが上昇することでストルバイト結石が形成されます。

このため犬のストルバイト結石の治療には抗菌剤を使用します。

また、ストルバイトはリン酸、アンモニア、マグネシウムから構成されており、「リン酸アンモニウムマグネシウム」とも呼ばれています。

ストルバイト結石の形成されやすさは、尿中のマグネシウムの濃度や尿のpHピーエイチの影響を強く受けていると考えられていて、特に尿中のミネラル濃度は重要です。

  • 尿中のマグネシウムの濃度:尿中へのミネラルの排泄量の増加や、尿量の減少によって、尿中のミネラル濃度が高くなると、結晶や結石が形成されやすくなります。
  • 尿のpHピーエイチ:尿が弱酸性(pHピーエイチ5.5~6.5程度)であれば結石が形成されることはほとんどなく、すでに形成された結石を溶解することも可能ですが、尿がアルカリ性になってしまうと結石が形成されやすくなります。

このため、ストルバイト結石の予防や治療のためには尿を弱酸性に保つことも重要です。

ただ尿のpHピーエイチは、様々な要因によって変わってしまうため注意が必要となります。

これらの要因だけでなく、結石の形成には非常に多くの要因が複雑に関わっているため結石形成のリスクを判断することは、簡単な事ではありません。

例えば、日常生活の中でも、ごはんの後は胃酸が分泌されて体内の酸が減少するため、愛犬の体は尿中への酸の排泄量を減らすことで尿のpHピーエイチのバランスを保ちます。
そのため、ごはんの後は尿中の酸が減少するので、尿がアルカリ化しやすく、ごはんの後6時間前後がピーク値になると言われています。

治療方法

尿路結石症の治療方法は、結石の種類や大きさ、位置によって異なります。

食事療法

特定の結石は、専用の療法食によって溶解することが可能です。

特にストルバイト結石は、食事療法により溶解が期待できます。

療法食は結石の成分に応じて選ばれるため、獣医師の指導を仰ぎましょう。

薬物療法

感染症を伴う場合は、抗生物質が使用されることがあります。

また、結石の形成を抑える薬剤もあるため、獣医師による処方が必要です。

外科的処置

大きな結石や尿路に詰まっている結石は、外科的な摘出が必要になることがあります。

手術は一般的に安全ですが、術後のケアが重要です。

ストルバイト結石になってしまった後の予防方法

ストルバイト結石の予防にはいくつかの効果的な予防方法があります。

水分摂取量を増やす

水分摂取量を増やすことで尿を希釈し、ミネラル濃度を低く保つことができます。

水分を好んでとらない子には、ドライフードに少量の水を加えたり、ウェットフードを取り入れたりすることで、水分補給のタイミングだけでなく、食事からも水分を摂取することができます。

尿のpHピーエイチを弱酸性に保つ

食事の工夫により、尿を弱酸性(pHピーエイチ 5.5~6.5)に保つことが重要です。

ごはんの後は尿pHピーエイチがアルカリ化しやすいので、食事の回数を小分けにすることでpHピーエイチの変動を抑えられます。

定期的な尿検査

獣医の指導のもと、尿検査を定期的に行い、pHピーエイチ値や結晶の有無を確認することで、予防と早期発見が可能です。

—–

ストルバイト結石は再発の可能性も高いため、一度の対応で終わるのではなく、継続的な食事と生活管理が必要です。

定期的に獣医の診察を受け、食事や習慣を見直すことで、愛犬の健康を守りましょう。

ドッグフードの選び方

ストルバイト結石の予防や管理には、以下のポイントを意識してドッグフードを選ぶと良いでしょう。

1, 療法食(治療用フード)の活用

獣医師が推奨する療法食は、ストルバイト結石の管理に特化しています。

これらのフードは次の目的のために作られています。

  • 尿のpHピーエイチを弱酸性に保つ
  • マグネシウムの含有量の制限
  • 尿量を増やすための調整(ナトリウムやタンパク質の適正な配分)

有名なメーカーの療法食には、ロイヤルカナン、ヒルズなどがあります。

ただし、療法食は病気の管理が目的であり、獣医師の指導に基づいて与えることが必要です。

2, 一般のドッグフードを選ぶ際のポイント

療法食以外でごはんを選ぶ場合は、以下の項目を確認してください。

  • 低マグネシウム:原材料欄に「マグネシウム含有量」が記載されているもの。具体的には0.12%以下が理想です。
  • 高タンパク質:尿を酸性に保つため、良質な動物性タンパク質を多く含むフードを選ぶ。
  • 穀物の含有量が少ない:穀物が多いと尿がアルカリ化しやすくなるため、穀物フリーまたは少量のものを選びます。
  • 水分含有量の多いもの:ウェットタイプや半生タイプのフードは水分補給も兼ねられます。

3, 避けたいフードの特徴

  • 塩分が過剰に含まれているもの(適量以上のナトリウムは避ける)。
  • マグネシウムを多く含む食材が主成分のもの(魚粉など)。
  • 安価で品質が不明な原材料を使用しているもの。

トッピングの工夫

ストルバイト結石の管理において、トッピングを活用することで栄養バランスや嗜好性を向上させることができます。

ただし、与えすぎや適さない食材には注意してください。

【 おすすめのトッピング食材 】

○ 低マグネシウムの肉類

  • 鶏胸肉
  • ささみ
  • ターキー
  • 白身魚(タラなど)

調理方法:茹でるか蒸して、塩や調味料を使わない。

○ 野菜類(適量)

  • カボチャ
  • ニンジン
  • ブロッコリー

調理方法:柔らかく茹でて細かく刻む。野菜の甘味があるため嗜好性が高くなります。

○ 低リン・低マグネシウムの炭水化物

  • 白米
  • サツマイモ
  • ジャガイモ

調理方法:消化しやすく茹でて与える。サツマイモにはシュウ酸という成分が含まれておりますが、シュウ酸は水に溶ける性質があるため、皮をむいてしっかり茹でると取り除くことができます。少量を加えるだけで十分です。

○ 酸性化を助ける食品

  • クランベリー(細かく刻むかピューレにして与える)
  • リンゴ酢(ごく少量を混ぜる)

これらは尿pHピーエイチの調整に役立つことがありますが、獣医師に相談して適量を守ってください。

【 避けるべきトッピング食材 】

  • マグネシウムを多く含む緑黄色野菜(ホウレンソウ、ケール)
  • 塩分が高い加工食品(ハム、ソーセージ)

【 トッピングを与える際の注意点 】

全体の食事量を超えないよう、主食の分量を調整してトッピングを加えましょう。

トッピングは嗜好性向上のためで、療法食や適切なドッグフードの効果を妨げない範囲で与えるのが理想です。

おやつを選ぶ時の基本ポイント

○ 低マグネシウム・低リン

ストルバイト結石の主な成分であるマグネシウムの摂取量を抑える必要があります。

また、リンの摂取過剰も避けるべきです。

成分表を確認し、これらが控えめなものを選びましょう。

○ 尿を弱酸性に保つ成分

尿を酸性化する作用が期待できる食品(含硫アミノ酸が豊富なものなど)を含むおやつが理想的です。

○ ナトリウムが過剰でないこと

ナトリウム(塩分)は尿量を増やす助けになることもありますが、過剰摂取は腎臓や心臓に負担をかける可能性があるため注意が必要です。

○ 天然素材・無添加

着色料や香料、防腐剤が含まれていないおやつを選びましょう。

【 おすすめのおやつ 】

1, 低脂肪で低マグネシウムの動物性おやつ

  • 鶏ささみジャーキー(無添加・低塩分のもの)
  • ターキーのおやつ(乾燥タイプや蒸したもの)
  • 白身魚スティック(タラやカレイなどの乾燥スナック)

2, 低マグネシウムの野菜スナック

  • サツマイモのスライス(蒸して乾燥させたもの)
  • ニンジンチップス(油を使わずに焼いたり乾燥させたもの)
  • カボチャのピューレ(少量与える)

3, 手作りおやつ

安心な材料を使用し、自宅で作る安心感があります。

例えば…

  • 鶏むね肉のボイルキューブ(一口大に切り分ける)
  • 白米とカボチャの団子(米粉やご飯を使い、砂糖や塩を加えず作る)
  • クランベリーゼリー(砂糖不使用でクランベリー果汁を固めたもの)

4, 市販の療法用おやつ

ストルバイト結石対応の療法食を展開しているブランドから、対応おやつが販売されています。

【 避けるべきおやつ 】

× 高マグネシウム食品

  • 魚粉や海藻を多く含むもの
  • 豆類(特に枝豆や大豆ベースのスナック)

× 塩分や調味料が多い食品

  • ハムやソーセージ、加工肉
  • 味付けされたビスケットやスナック

× 尿をアルカリ性に傾ける食品

  • 緑黄色野菜(ほうれん草、ケール)を原料としたおやつ
  • 穀物を多く含むもの(小麦粉主体のクッキーなど)


【 おやつを与える際の注意点 】

  • 与えすぎない(おやつは総カロリーの10%以内を目安に与えましょう。過剰摂取は体重管理の面でもリスクが高まります。)
  • 水分を一緒に与える(おやつを与える際には、飲み水を十分に確保してください。おやつによって水分摂取を促すことも重要です。)
  • 獣医師に相談(食事療法を行っている場合、特定の成分がおやつに含まれていないかを獣医師に確認してください。)
  • おやつを与えた後の観察(尿の状態や排尿頻度を観察し、異変があればすぐに相談しましょう。)

ストルバイト結石を抱えるわんちゃんでも、工夫次第で安心しておやつを楽しむことができます。

最後に…

適切なフード選びとトッピングを上手に組み合わせることで、ストルバイト結石を抱えるわんちゃんの健康をしっかりサポートできます。

趣味嗜好は、わんちゃんそれぞれ異なります。

愛犬の体調を見ながら、ごはんやおやつの工夫を重ねてみてください。