【実践編】【第十五弾】耳掃除ってどうするの?頻度・道具・嫌がられないやり方について

こんにちは!
静岡県浜松市にあるミニチュアシュナウザー専門の犬舎、ESTRELLA(エストレージャ)の内山です。
「耳掃除って必要なの?」
「綿棒でゴシゴシしていいの?」
「嫌がって暴れるから怖い…」
犬の耳ケアは、やり方を間違えると逆に炎症の原因になりやすく、飼い主さんが悩みやすいテーマです。
特にミニチュアシュナウザーは、トリミングで耳の毛を整えることも多く、耳の状態が変化しやすい犬種。
さらに、湿気の多い季節やシャンプー後は外耳炎のリスクが上がるため、正しい知識で“やりすぎない定期ケア”を続けることが大切です。
この記事では、耳掃除の基本(頻度・道具・手順)から、嫌がられないコツ、外耳炎の予防につながる日常管理、やってはいけないNGまで、初心者の方にもわかりやすくまとめます。
「耳の中をピカピカにする」ことが目的ではなく、トラブルを早く見つけ、悪化させないのが耳ケアの本質です。
まず知っておきたい:犬の耳は「掃除しすぎ」が一番危険
結論から言うと、犬の耳掃除は やりすぎない方がうまくいきます。
人の耳と違い、犬の外耳道はL字型で、奥が見えにくく、刺激に弱い構造です。

ここに綿棒を突っ込んだり、毎日のように強く拭いたりすると、
- 皮膚が傷つく
- 耳の中のバリアが壊れる
- かえって耳垢が増える
- 炎症が起こり、菌や酵母が増える
という悪循環になりやすいです。
耳掃除とは「耳垢を全部取る作業」ではありません。
正常な耳垢は、耳の皮膚を守るために必要です。
だから目標はシンプルで、次の2つです。
- 耳の入口〜見える範囲を清潔に保つ
- 変化(赤み・におい・ベタつき)を早めに察知する
これができれば、外耳炎予防として十分な価値があります。
外耳炎ってどんな病気?予防と早期発見が重要な理由
外耳炎は、耳の入口から鼓膜の手前(外耳道)に炎症が起きる状態で、犬ではとても一般的です。
原因は一つではなく、
- 体質(アレルギー体質、脂っぽい皮膚)
- 湿気(梅雨、夏、シャンプー後、水遊び後)
- 耳の構造(耳道が狭い、蒸れやすい)
- 耳毛の量、トリミングの影響
- 細菌・酵母(マラセチア)
- 耳ダニ(子犬・多頭環境で要注意)
などが重なって起こることが多いです。
外耳炎が厄介なのは、「軽いうちなら治りやすい」のに、「気づくのが遅れると慢性化しやすい」点です。
慢性化すると外耳道の皮膚が厚くなって狭くなり、再発しやすくなることもあります。
だから、家庭ケアでできる最大の予防は、耳を“いじる”ことではなく、耳を“観察する習慣”をつくることです。
正常な耳の状態って?まずは「基準」を知る
耳掃除の頻度を決める前に、正常な耳の状態を知っておくと迷いが減ります。
- 正常の目安
- 耳の中(見える範囲)が薄いピンク〜淡い肌色
- 耳垢は少量で、乾いた茶色〜薄茶色が多い
- においはほとんどしない(“犬の皮膚の匂い”程度)
- 触っても痛がらない
- かゆがらない(頭を振らない、耳を掻かない)
- 要注意サイン(病院相談の目安)
- 強いにおい(酸っぱい、納豆みたい、魚っぽいなど)
- 赤みが強い、腫れている
- ベタベタして湿っている
- 耳垢が大量、黒い、泥状、黄色い、膿っぽい
- 耳を掻く、頭を振る、片側だけ傾ける
- 触ると嫌がる、痛がる
- 耳から出血、ただれ
- 耳が熱い
このサインがあるときは「掃除して様子見」より、受診が優先です。
家庭で触るほど悪化するケースもあります。

耳掃除の頻度:基本は「月1〜2回」+「汚れたとき」
多くの犬にとって、耳掃除は以下が目安です。
【 基本の目安 】
- 月1〜2回(2〜4週間に1回)
- シャンプー後や雨の日の散歩後など、耳が湿ったときは追加で「入口を拭く」程度
- 耳垢が増えやすい子・脂っぽい子は 週1回でもOK(ただしやりすぎ注意)
こんな子は頻度を増やしがち(でも慎重に)
- 体質的に耳垢が多い
- アレルギー傾向で耳が赤くなりやすい
- 外耳炎の既往がある
- 耳道が狭いと言われたことがある
- 梅雨〜夏にトラブルが増える
とはいえ、『頻度を増やす=良いこと』ではありません。
「耳垢が出る → 取る → 皮膚が刺激される → 耳垢が増える」という循環になっていないか確認しながら、“必要なときだけ軽く”が基本です。
耳掃除に必要な道具:これだけでOK
耳掃除グッズは多いですが、家庭ケアで必要なのは基本的に以下です。
【 基本セット 】
- イヤークリーナー(犬用)
- 水のようにサラサラタイプ、ローションタイプなど
- 初心者は刺激の少ないマイルドタイプ推奨
- コットン(大きめ) or ガーゼ
- 拭き取り用
- タオル
- 耳洗浄後に頭を振ったときの飛び散り対策
- ご褒美(トリーツ)(慣れるまで)
- “嫌なこと”ではなく“良い時間”にするため
- 家庭で避けたいもの
- 綿棒(耳の奥):押し込む・傷つける・詰まらせるリスク
- 人用の消毒液(アルコールなど):刺激が強すぎる
- 強い香料のある製品:刺激で炎症が悪化することも
- ピンセットで耳毛を抜く(自己流):皮膚を傷つける可能性
綿棒が完全にダメというより、「奥に入れない」が鉄則です。
どうしても使うなら、耳の入口の“見える範囲だけ”に限定しましょう。

耳掃除のやり方:初心者向け「基本の手順」
ここが一番大事です。
“やさしく・短く・奥に入れない”を守れば、耳掃除は怖くありません。
【手順】外耳炎予防の「定期ケア」バージョン
① 耳の状態をチェック(観察)
赤み、におい、ベタつき、耳垢の量を確認。
「いつもと違う」と感じたら無理に掃除せず、写真を撮って相談材料に。
② イヤークリーナーを耳の中に少量入れる
耳の入口から入れてOK。奥にノズルを突っ込まない。
量の目安は製品によりますが、まずは少なめで十分。
③ 耳の付け根をやさしくマッサージ(10〜20秒)
クチュクチュ音がするのは正常。
汚れを浮かせるイメージです。
④ 犬が頭を振るのを待つ(大事)
ここで汚れが外に出ます。
タオルでガード。
⑤ コットンで“見える範囲だけ”拭き取る
入口〜見える範囲をやさしく。
奥に押し込む動きは禁止。
⑥ 終わったらすぐ褒めてご褒美
耳掃除の成功率はここで決まります。
嫌がられないやり方:コツは「耳掃除をイベント化しない」
嫌がる子に共通するのは、「耳に触られる=嫌なことが始まる」と学習していること。
だから、嫌がられないコツは“技術”より“習慣づくり”です。
嫌がる子に効く5つのコツ
① まず「触るだけ」で終わる日を作る
いきなりクリーナーを使うと警戒されます。
最初は、耳をめくって1秒触って終わり→ご褒美、でOK。
② 時間は最短で
耳掃除は丁寧にやるほど良い、ではなく、短いほど成功します。
1回30秒でも十分。
③ 押さえつけない(固定はソフトに)
強く抑えるほど恐怖になり、次回が難しくなります。
膝の上に座らせて、体を包むように支える程度が理想。
④ 犬が疲れている時間帯を選ぶ
散歩後、遊んだ後、眠いときの方が成功率が上がります。
⑤ 家族でルールを統一する
ある日は無理やり、ある日は優しい、だと犬は混乱します。
「奥に入れない」「短く」「最後に褒める」を家族で統一しましょう。

こんなときは耳掃除しないで!家庭ケア中止の目安
耳掃除は万能ではありません。
次の状態なら、家庭でいじらず受診をおすすめします。
- 強いにおい
- 真っ赤、腫れ
- 痛がる(触るだけで怒る)
- 片耳だけ症状が強い
- 耳垢が黒くベタベタ(マラセチア疑い)
- 黄色い耳垢、膿っぽい
- 出血・ただれ
- 頭を傾ける、ふらつく
特に「痛い耳」を掃除しようとすると、犬との信頼関係が一気に崩れます。
病院で痛みを抑えながら治療し、落ち着いてからケアを再開する方が、結果的に早く良くなります。
外耳炎予防につながる“日常の管理”ポイント
耳掃除だけで外耳炎を防ぐのは難しいですが、日常でできる予防はたくさんあります。
① シャンプー・水遊び後は「乾かす」
耳に水分が残ると一気にリスクが上がります。
- タオルで耳の入口をやさしく拭く
- ドライヤーを遠め&弱風で乾かす(熱風NG)
- 乾かした後に耳のにおいを確認
② 耳周りの毛を整える
蒸れやすい子は、耳の入口周りの毛を整えるだけで改善することがあります。
自己流で抜くより、トリマーさんに相談するのが安全です。
③ アレルギー体質の子は“耳が最初に荒れる”ことがある
皮膚が弱い子は、外耳炎が「体質サイン」として出ることも。
耳だけでなく、体のかゆみ、足舐め、涙やけなども一緒に観察しましょう。
④ 定期的に「においチェック」を習慣化
耳掃除の頻度より、においの変化に早く気づく方が圧倒的に重要です。
毎日でなくてOK。週に数回、耳をめくって“嗅ぐ”だけでも予防になります。

よくある質問Q&A
Q1. イヤークリーナーは毎日使っていい?
基本は不要です。
毎日は刺激になりやすいので、月1〜2回、汚れが気になるとき程度がおすすめです。
体質的に耳垢が多い子は獣医師と相談して頻度を調整しましょう。
Q2. 綿棒で奥まで掃除した方が綺麗になりそう…
奥は危険です。
耳垢を押し込んで詰まりやすくなり、外耳炎の原因になることも。
家庭では“見える範囲だけ”が安全です。
Q3. 耳垢が多いけど、赤くないし匂いもない。どうする?
体質で耳垢が多い子もいます。
匂いがなく、乾いていて、痒がらないなら、拭き取りだけで様子見でOK。
頻繁に掃除しすぎないことが大切です。
Q4. 耳掃除をしたら頭をすごく振るけど大丈夫?
クリーナーが入った後に振るのは正常です。
ただし、掃除後もずっと振る、痛がる、片側だけ激しいなどがあれば受診を。
まとめ:耳掃除は「掃除」より「観察」。やさしく短くが正解
耳ケアは、頑張りすぎるほど難しくなることがあります。
今日から意識してほしいのはこの3つです。
- 奥まで掃除しない(入口だけでOK)
- 頻度は月1〜2回が基本(必要なときだけ)
- におい・赤み・ベタつきの変化を早く見つける
そして、嫌がる子ほど「触るだけ→褒める」を積み重ねることが近道です。
耳掃除ができるようになると、外耳炎予防だけでなく、日頃の健康チェック力が上がり、将来の通院ストレスも減らせます。