こんにちは!
静岡県浜松市にあるミニチュアシュナウザー専門の犬舎、ESTRELLA(エストレージャ)の内山です。
ミニチュアシュナウザーと暮らしていると、意外と見落とされがちなのが「肉球(パッド)」のケアです。
毛やヒゲ、眉の手入れは気にするのに、肉球は“ガサガサしてきてから慌てて対処”になりやすい場所。
でも肉球は、犬にとって 「靴」でもあり「クッション」でもあり「滑り止め」でもある 大切な器官です。
ここが荒れると、歩き方が変わり、足腰への負担が増え、関節・爪・背中まで連鎖的に不調が出ることもあります。
さらに、室内飼いが中心のシュナウザーに多い悩みが、フローリングでの滑り。
「走るとツルッ」
「踏ん張れずに転ぶ」
「階段を怖がる」
など、日常の小さな“滑り”の積み重ねが、将来の関節トラブルにつながる可能性もあります。
この記事では、
- 肉球を守るべき理由
- 肉球の正しいケア(乾燥・ひび割れ・伸びた毛・ニオイ)
- フローリングで滑らせない環境づくり
- 子犬・成犬・老犬それぞれの注意点
を、初心者の方でも実践できるように丁寧にまとめます。
そもそも肉球は何のためにあるの?
肉球はただの“ぷにぷに”ではありません。
主な役割はこの4つです。
① 衝撃吸収(クッション)
ジャンプや着地、階段、急停止などの衝撃を和らげます。
シュナウザーは活発でダッシュも得意。
だからこそ肉球が硬くなりすぎたり、逆に薄く弱っていると、衝撃がダイレクトに関節へいきます。
② 滑り止め(グリップ)
肉球表面の適度な弾力と摩擦で踏ん張ります。
乾燥して硬くなるとグリップ力が落ち、フローリングで滑りやすくなります。
③ 感覚器(センサー)
肉球には多くの神経があり、地面の温度・質感・凸凹を感じ取っています。
痛みがあると歩くのを嫌がったり、外に出たがらなくなるのは“わがまま”ではなくセンサーが働いているサイン。
④ 体温調節(汗腺)
犬は肉球に汗腺があります(人間ほどではありません)。
熱がこもる季節は、肉球が蒸れてトラブルが増えやすいので注意が必要です。

肉球トラブルの「よくある原因」5つ
肉球が荒れる原因はひとつではありません。
よくあるのはこの5つです。
【 原因① 】乾燥(冬・エアコン)
冬の乾燥や暖房、夏の冷房で、肉球がカサカサに。
表面が硬くなると滑りやすく、ひび割れもしやすいです。
【 原因② 】滑って踏ん張る(室内フローリング)
滑る → 踏ん張る → 皮膚がこすれる → 肉球が硬化・荒れやすくなる
この悪循環が起こりやすいです。
特に、勢いよく走る子・興奮しやすい子ほど肉球が痛みやすい傾向。
【 原因③ 】足裏の毛が伸びすぎている
シュナウザーは足裏の毛が伸びやすい犬種。
足裏の毛が伸びると、肉球が床に接地しにくくなり、“毛で滑る” 状態になります。
肉球ケア=保湿だけでなく、足裏バリカン(足裏カット) が重要です。
【 原因④ 】爪が長い
爪が長いと、肉球にしっかり体重が乗らず、滑りやすくなります。
さらに関節の角度が崩れて歩き方が悪くなり、老後の足腰に響きます。
【 原因⑤ 】アレルギー・皮膚炎・感染(舐め壊し)
肉球をしきりに舐める、赤い、におう、ベタつく…は要注意。
単なる乾燥ではなく、外耳炎と同じように“湿気と菌”が絡むこともあります。
その場合はホームケアだけで長引かせず、早めに動物病院へ。

基本の肉球ケア:今日からできる「3本柱」
肉球ケアは難しいことをしなくて大丈夫です。
基本はこれだけ。
① 足裏の毛を整える(最重要)
【 目安 】
2〜4週間に1回(伸びる子はもっと早い)
【 ポイント 】
肉球がしっかり床に当たる長さにする
足裏の毛が伸びたままだと、どんな滑り止め対策をしても効果が落ちます。
「肉球が床に触れて初めてグリップが生きる」ので、まずはここ。
※自宅でやる場合、バリカンに慣れていない子は無理せずトリミングでOK。
嫌がって暴れるとケガのリスクがあるため、最初はプロに任せるのが安心です。
② 爪を適正に保つ(滑り対策にも直結)
【 目安 】
2〜4週間に1回
【 理想 】
立った時に爪が床に強く当たらない長さ
爪が長いと“爪で滑る”ことがあります。
フローリングでカチカチ音がする場合は、爪が長いサインのことが多いです。
③ 保湿(やりすぎ注意、でも継続が鍵)
肉球専用の保湿剤(肉球クリーム・バーム)を薄く塗るだけで、乾燥・ひび割れ・硬化を防ぎやすくなります。
【 塗り方のコツ 】
- 散歩後や寝る前など「落ち着く時間」に
- 米粒〜小豆くらいを手に取り、薄く伸ばす
- ベタベタに塗らない(床が滑る原因にも)
- 塗った直後に走らせない(5〜10分落ち着かせる)
舐める子はどうする?
- 塗った後に知育トイで気をそらす
- クレートで数分休憩
- 舐め壊しがひどい子は、保湿より先に炎症ケアが必要な場合もあるので病院相談

季節別:肉球ケアの注意ポイント
【 冬 】乾燥とひび割れ
冬は表面が硬くなりやすいです。
「ガサガサ→滑る→踏ん張る→さらに硬くなる」になりがちなので、足裏カット+薄い保湿を習慣化すると安定します。
【 夏 】熱・蒸れ・散歩時間
真夏のアスファルトは肉球に負担。
室内でも湿気で蒸れ、指の間が赤くなる子もいます。
散歩は涼しい時間帯にし、帰宅後は足裏を軽く拭いて清潔に。
【 梅雨 】菌・におい・ベタつき
梅雨は肉球が蒸れやすく、舐め壊しも増えます。
「赤い」「におう」「ベタベタ」「指の間が湿っぽい」なら要注意。
この時期は“保湿”より“清潔と乾燥”が優先です。
フローリング対策:滑りを減らすのが最優先
肉球を守るには、滑る環境を減らす のがいちばん効果的です。
なぜなら、滑りを放置すると「足腰」「膝」「腰椎」まで負担が連鎖するからです。
【 対策① 】走る場所だけでも「マット・ラグ」を敷く
全部を敷き詰めなくてもOK。
犬の動線(ソファ〜水飲み場〜トイレ〜廊下)を優先して敷くだけでも変わります。
おすすめの考え方
- 廊下:細長いランナーラグ
- リビング:滑り止め付きラグ
- トイレ周り:防水マット
- ダッシュしがちな場所:ジョイントマット(ただし噛む子は注意)
【 対策② 】滑りやすいところに「滑り止め加工」
フローリング用の滑り止めワックス・コーティングなども選択肢です。
ただし、犬に安全な成分・施工方法かを必ず確認してください。
においが強いものや乾燥に時間がかかるものは、犬のストレスになることがあります。
【 対策③ 】犬用ソックス・ブーツ(必要な子には有効)
- 老犬で踏ん張れない
- 後ろ足が特に滑る
- 肉球が荒れて一時的に保護したい
こういう子には、ソックスやブーツが役立つ場合があります。
ただし、嫌がる子も多いので「慣らし」が必要。
まずは短時間(数分)から始めて、できたら褒める、を繰り返します。
対策④ 肉球に貼る滑り止め(グリップシール)
一時的にグリップを上げたい場合に便利ですが、皮膚が弱い子・舐める子には合わないことがあります。
貼った後に赤みが出ないか、必ずチェックしてください。
年齢別:子犬・成犬・老犬で違う「守り方」
子犬(パピー期)
子犬は肉球がまだ柔らかく、床の刺激に敏感です。
滑って転ぶ経験が続くと、走るのを怖がったり、歩き方が変になる子もいます。
【 子犬のポイント 】
- まず「滑らない床」を優先
- 爪が伸びやすいので短め管理
- 保湿は必要な時だけ(ベタつきは逆効果になりやすい)

成犬(元気いっぱい期)
走る、跳ぶ、急停止…が増え、肉球への摩擦が多い時期。
この時期に滑る床を放置すると、将来の膝・腰に影響が出ることがあります。
【 成犬のポイント 】
- 足裏カット+爪管理をルーティン化
- 走る場所はラグで保護
- 散歩後は軽く拭いて清潔に

老犬(シニア期)
シニアは筋力が落ち、踏ん張れずに滑りやすくなります。
「滑る→踏ん張れない→転ぶ→怖くなる→動かなくなる」
この流れが起こると、さらに筋力低下が進むことも。
【 老犬のポイント 】
- 家の中の“滑りゼロ化”を目標に
- 後ろ足が滑る子はソックスやマットを検討
- 肉球が薄くなって痛がる子もいるので、荒れがあれば早めに病院相談
- 関節痛がある場合、肉球ケアだけでは解決しないこともあります

肉球チェックリスト(週1でOK)
最後に、迷わないためのチェックリストを置いておきます。
週1回で十分です。
- 肉球が白っぽく粉を吹いていない?(乾燥)
- ひび割れ、欠け、出血はない?
- 指の間が赤くない?湿ってない?におわない?
- しきりに舐めていない?(ストレスや炎症の可能性)
- 足裏の毛が伸びて肉球が隠れていない?
- 爪が長くて床でカチカチ鳴っていない?
- フローリングで滑っていない?後ろ足が流れていない?
【 受診の目安 】
- 赤みが強い、腫れている
- 片足をかばう、触ると嫌がる
- 出血、膿、強いにおい
- 舐め壊して皮膚がただれている
こういう場合は、セルフケアで引っ張らず病院が安心です。
まとめ:肉球を守ることは「足腰を守ること」
ミニチュアシュナウザーの肉球ケアは、見た目の問題ではなく、健康寿命の土台です。
- 足裏の毛を整える
- 爪を適正に保つ
- 乾燥しすぎないよう薄く保湿
- 何より、フローリングで滑らせない環境づくり
この4つを意識するだけで、「滑って転ぶ」「足腰の負担」「散歩を嫌がる」などの悩みが減りやすくなります。
肉球は毎日見なくてもいい。
でも、“定期的に気にしてあげるだけで未来が変わる場所” です。
ぜひ今日から、できるところから始めてみてください。
