こんにちは!
静岡県浜松市にあるミニチュアシュナウザー専門の犬舎、ESTRELLA(エストレージャ)の内山です。
犬と猫は現代において最も身近な動物ですが、彼らの祖先をたどると、約6000万年前に生息していた「ミアキス(Miacis)」という小型の哺乳類に行き着きます。
ミアキスは、現在の食肉目(ネコ目)に属する動物の祖先とされており、そこから異なる進化の道をたどることで、犬と猫という現在の形に至りました。
今回は、ミアキスから現代の犬や猫に至る進化の過程を詳しく解説していきます。
ミアキス(Miacis)とは?
ミアキスは、およそ6000万年前(暁新世)に北アメリカやヨーロッパに生息していた小型哺乳類であり、樹上生活をしていたと考えられています。
体長は30~50cmほどで、長い尾と柔軟な体を持ち、俊敏な動きができる生き物でした。
【 ミアキスの特徴 】
• 食肉目(ネコ目)の祖先
ミアキスは、犬や猫だけでなく、イヌ科、ネコ科、クマ科、アライグマ科、マングース科など、現代の食肉目動物の共通の祖先にあたります。
• 歯の構造
肉を食べるための鋭い犬歯を持ちつつ、雑食性だった可能性もありました。
• 生活環境
樹上生活をしており、樹木の間を素早く移動する能力を持っていました。
• 夜行性
暗闇の中でも活動できる視覚や嗅覚を備えていたと考えられます。
ミアキスは、環境の変化とともに徐々に陸上での生活に適応し、異なる進化の道を歩み始めました。
そして、このミアキスの子孫たちが、最終的に「犬」と「猫」という二つのグループに分かれていくことになります。
ミアキスから犬と猫へ
ミアキスの子孫は、約4000万年前(始新世)になると、より進化した食肉目動物へと分かれていきました。
その過程で、二つの主要なグループが形成されました。
① 犬の祖先(イヌ型亜目)
- イヌ科(犬、オオカミ、キツネなど)
- クマ科(クマ)
- イタチ科(イタチ、ラッコ、フェレットなど)
② 猫の祖先(ネコ型亜目)
- ネコ科(猫、ライオン、トラなど)
- ハイエナ科(ハイエナ)
- マングース科(マングースなど)
この時点で、犬と猫はすでに異なる進化の道を歩んでいたことがわかります。
それぞれのグループは、環境や狩りのスタイルの違いによって異なる特徴を発達させていきました。
犬の進化
イヌ科の動物は、約4000万年前に「プロヘスぺリオン(Prohesperocyon)」という生物に進化しました。
この動物は、すでに現代の犬のような特徴を持っており、群れで狩りをする習性があったと考えられています。
イヌ科の進化の流れ
約3400万年前:「ヘスペロキオン(Hesperocyon)」
- イヌ科の最初の祖先とされる動物で、北アメリカに生息。
- まだ完全に陸上生活に適応していなかったが、樹上生活から離れつつあった。
約2000万年前:「トモクトゥス(Tomarctus)」
- より進化したイヌ科の祖先で、現代のオオカミやコヨーテの特徴を持つ。
- 群れで狩りをする社会性を発達させた。
約600万年前:「カニス(Canis)」の出現
- 現代のオオカミや犬の祖先に直接つながる種。
- ここからオオカミが進化し、人間と共存することで犬へと進化していった。

猫の進化
猫の祖先もまた、ミアキスから進化し、約3500万年前に「プロアイルルス(Proailurus)」と呼ばれる動物が出現しました。
この動物は、現代の猫の特徴をすでに持っており、鋭い爪や柔軟な体を活かした狩猟をしていました。
ネコ科の進化の流れ
約3500万年前:「プロアイルルス(Proailurus)」
- ネコ科の最も古い祖先。
- 樹上での狩猟に適応しており、鋭い爪と柔軟な体を持っていた。
約2000万年前:「プセウダエルルス(Pseudaelurus)」
- ネコ科の進化した形態で、現代の小型・大型ネコの祖先にあたる。
- この種から、ライオンやトラなどの大型ネコと、イエネコの祖先が分岐していった。
約900万年前:「フェリス属(Felis)」の誕生
- イエネコの祖先に直結する種。
- 単独行動を基本とし、優れた狩猟能力を発揮するようになった。

人間との関係
犬と猫は、それぞれ異なる形で人間と関わるようになりました。
• 犬(イヌ科)
約1万5000年前にオオカミの一部が人間に馴化し、犬へと進化しました。
犬は狩猟や牧畜のパートナーとして人間社会に深く関わるようになりました。
• 猫(ネコ科)
約9000年前に中東で農耕が始まると、ネズミを駆除するために猫が重宝されるようになり、人間との関係を築いていきました。
まとめ
犬と猫は共通の祖先「ミアキス」から進化しましたが、それぞれ異なる進化の道を歩みました。
- 犬は社会性のある狩猟動物として進化し、人間と協力するようになった。
- 猫は単独で狩猟する能力を発達させ、人間とは緩やかな共生関係を築いた。
この進化の過程を知ることで、犬や猫の行動や習性に対する理解が深まります。
現在も進化を続ける彼らの未来もまた、私たちの関わり方次第で変わっていくでしょう。
