こんにちは!
静岡県浜松市にあるミニチュアシュナウザー専門の犬舎、ESTRELLA(エストレージャ)の内山です。
「犬を飼っている人は、認知症になりにくいらしい」
そんな話を聞いたことはありませんか?
犬と暮らしている私たちにとって、とても興味深い話です。
実はこれは、単なる噂や「犬は癒やされるから健康に良さそう」というイメージだけの話ではありません。
日本の研究チームが地域で暮らす高齢者約11,200人を長期間追跡した研究で、犬を飼っている高齢者では、犬を飼っていない人と比べて「要介護認知症」の発症が少ないという結果が報告されています。
さらに2026年には、同じ研究基盤を使って約7.5年間追跡し、より因果関係に踏み込んだ解析を行った研究も発表されました。
その結果として報告されたのが、『現在犬を飼育している高齢者は、犬を一度も飼育したことがない高齢者と比較して、要介護認知症発症のオッズが約48%低かった』という非常に興味深い数字です。
ただし、ここで誤解してはいけません。
これは、「犬を飼えば認知症を48%予防できる」「犬を飼えば認知症にならない」という意味ではありません。
では、この研究結果を私たちはどう受け止めればよいのでしょうか。
この記事では、日本の約11,200人を対象とした研究データを中心に、
・犬を飼っている人と飼っていない人にどんな違いがあったのか
・「48%低い」とはどういう意味なのか
・なぜ犬との暮らしが認知機能や健康と関係する可能性があるのか
・散歩、運動、人との交流、生活リズムとの関係
・研究結果を読むうえで注意したいこと
について、できるだけ分かりやすくご紹介します。
「犬を飼っている人は認知症になりにくい」は本当?
まず結論から言うと、日本人高齢者を対象とした複数の研究で、犬を飼っていることと要介護認知症の発症が少ないこととの関連が報告されています。
非常に興味深いのが、東京都内の地域在住高齢者を対象として行われた大規模な研究です。
2023年に発表された研究では、65〜84歳を中心とする11,194人を約4年間追跡しました。
調査開始時点で、現在犬を飼っていた人は959人。
研究期間中に要介護認知症となった割合を比較すると、
| 現在犬を飼っている人 | 3.6% |
| 過去に犬を飼っていた、または犬を飼っていない人 | 5.1% |
という違いがありました。
年齢や健康状態、生活状況などの背景要因を統計的に調整した解析でも、現在犬を飼っている人の要介護認知症発症のオッズ比は0.60でした。
簡単に表現すると、現在犬を飼っている高齢者のほうが、対象となった比較群より要介護認知症の発症が少なかったという結果です。(PubMed)
さらに2026年、7.5年間追跡した研究が発表
そして、このテーマでさらに注目したい研究が2026年に発表されました。
国立環境研究所、東京都健康長寿医療センター、東京大学などの研究チームによる研究です。
対象となったのは11,224人の地域在住高齢者。
追跡期間は約7.5年間です。
参加者を、
- 「現在犬を飼っている」
- 「以前犬を飼っていた」
- 「一度も犬を飼ったことがない」
というグループに分け、要介護認知症の発症などを調査しました。
一般的な統計解析では、現在犬を飼っている人の要介護認知症発症のオッズ比は、犬を飼ったことがない人を1とした場合に0.53でした。
さらに研究チームは「操作変数解析」という方法を使い、単純な相関だけでなく因果関係の可能性についても検討しました。
そこで得られた現在の犬飼育者のオッズ比が、0.52でした。
国立環境研究所はこれを、「現在犬を飼育している人は、犬を飼育したことがない人と比較して、要介護認知症の発症リスクが48%低い」と発表しています。(日本環境省)
約11,200人を7.5年間追跡したという規模を考えると、犬と暮らす私たちにとって、とても興味深い研究ではないでしょうか。
でも「犬を飼えば認知症が48%減る」ではありません
ここはこの記事の中で、最も大切にしたい部分です。
「48%低い」という数字だけを見ると、「じゃあ犬を飼えば認知症を半分くらい予防できるんだ!」と思ってしまうかもしれません。
しかし、その理解は少し違います。
この研究で示されているのは、調査した高齢者集団において、現在犬を飼っている人では要介護認知症発症のオッズが低かったという結果です。
薬を使った無作為化比較試験のように、「同じ条件の人を無作為に犬を飼うグループと飼わないグループに分ける」という研究を行ったわけではありません。
そもそも、それを何年間も行うことは現実的ではありません。
犬を飼える人と飼えない人には、もともとさまざまな違いがある可能性があります。
例えば、
- 体力がある。
- 散歩に行ける。
- 経済的に犬を飼育できる。
- 家族がいる。
- 外出する機会が多い。
- 人との交流がある。
こうした背景そのものが健康状態と関係している可能性があります。
研究者もその問題を理解しているため、さまざまな背景因子を統計的に調整し、2026年の研究ではさらに操作変数解析によって因果関係の可能性を検討しています。
それでも、「犬そのものが認知症を直接防いだ」と断定できるわけではありません。
この違いは、ぜひ覚えておいてください。

では、なぜ「犬と暮らすこと」が関係するのでしょう?
ここからが私たち犬を飼っている人にとって、一番面白い部分です。
研究結果を見ていると、「犬が家にいる」という事実だけではなく、犬と暮らすことによって自然に生まれる生活そのものが重要なのではないかと考えられます。
犬との生活を一日思い浮かべてみてください。
朝起きる。
犬にご飯をあげる。
水を替える。
散歩へ行く。
帰って足を拭く。
犬に話しかける。
遊ぶ。
夕方になったらまた散歩する。
ご飯をあげる。
身体を触る。
今日の様子を確認する。
何気ない毎日ですが、人間側から見るとかなりたくさんの行動があります。
①犬を飼うと「歩く理由」ができる
まず考えられるのが運動です。
犬を飼っていると、「今日は運動したくないな」と思っても、犬はこちらを見ています。
雨が降っていなければ、「散歩は?」という顔をしているかもしれません。
スポーツジムなら、「今日はやめておこう」で終わります。
でも犬の散歩はそうはいきません。
毎日外へ出て歩く。
この習慣が自然に生活に組み込まれます。
実際、2023年の研究では、犬を飼っていて運動習慣もある人について、とても興味深い結果が出ています。
犬を現在飼っておらず、運動習慣もない人を基準にした場合、犬を飼っていて運動習慣がある人の要介護認知症発症のオッズ比は0.37でした。(PubMed)
つまり、この研究から見えてくるのは、「犬がいる」だけではなく、「犬との暮らしの中で身体を動かすこと」の重要性です。
②散歩は単なる運動ではありません
犬の散歩には、普通のウォーキングとは少し違う部分があります。
いつもの公園へ行く。
季節の変化を見る。
他の犬に会う。
近所の人から、「おはようございます」と声を掛けられる。
犬同士が挨拶をすれば、「何歳ですか?」「かわいいですね」「今日は暑いですね」と自然に会話が始まります。
犬を連れていると、知らない人同士でも驚くほど会話が生まれます。
これは犬を飼っている方なら経験があるのではないでしょうか。
③犬が「人と人をつなぐ」こともある
認知症を考えるうえでは、運動だけでなく社会的なつながりも重要な要素として研究されています。
そして2023年の犬飼育研究では、ここにも興味深い結果がありました。
現在犬を飼っていて、社会的孤立のない人では、犬を現在飼っておらず社会的孤立がある人と比較した要介護認知症発症のオッズ比が0.41でした。(PubMed)
もちろん、「犬を飼えば友達が増える」と全員に当てはまるわけではありません。
でも犬には、人と人の間に自然な会話を作ってくれる力があります。
- 犬の名前。
- 犬種。
- 年齢。
- トリミング。
- 散歩コース。
- ドッグラン。
- 動物病院。
犬をきっかけに話題はいくらでも生まれます。
④犬がいることで「毎日の役割」が生まれる
犬と生活していると、「自分がやらなければならないこと」があります。
- ご飯。
- 水。
- 散歩。
- 排泄。
- トリミング。
- 健康チェック。
- 動物病院。
犬は自分で冷蔵庫を開けてご飯を食べることはできません。
だから、人間が世話をします。
これは負担でもあります。
でも同時に、『毎日の役割』でもあります。
- 朝になったら起きる理由がある。
- 散歩へ出る理由がある。
- ご飯を準備する理由がある。
- 自分を必要としている存在がいる。
こうした毎日の積み重ねも、犬との生活が人間にもたらす大きな特徴ではないでしょうか。

⑤犬に話しかけることも日常的な刺激
犬を飼っている方は、一日に何回犬に話しかけているでしょうか。
「おはよう。」
「ご飯食べる?」
「散歩行く?」
「今日は暑いね。」
「何してるの?」
「そこにいたの?」
数えてみると、かなりの回数になると思います。
もちろん犬と人間が同じように会話しているわけではありません。
でも私たちは、
- 犬の表情を見る。
- 反応を見る。
- 行動を予測する。
- 名前を呼ぶ。
- 指示を出す。
- 褒める。
- 遊び方を考える。
といったことを毎日しています。
つまり犬との生活は、身体だけでなく頭も使う生活でもあります。
⑥シュナウザーなら、なおさら頭を使うかもしれません
これは研究データではなく、私たちがミニチュアシュナウザーと日々暮らす中で感じることです。
ミニチュアシュナウザーは、人をよく観察します。
「あれ?今日は散歩の時間が違うよね?」
「その袋、おやつだよね?」
「今から出掛けるでしょう?」
と思っているかのような反応をすることがあります。
こちらも、
「今日は何を考えているんだろう?」
「どうしたら分かってくれる?」
「どう遊ぼう?」
と毎日考えます。
以前の記事でも触れましたが、シュナウザーは「ただ言われたことをする」というより、自分でも考えるところが魅力的な犬種です。
そんな犬との生活は、ときには知恵比べです。
でも、それこそが犬と一緒に暮らす面白さなのかもしれません。

⑦「規則正しい生活」が自然に生まれやすい
犬と暮らしていると、
- 朝ご飯。
- 朝の散歩。
- 夕方の散歩。
- 夕食。
- 就寝。
ある程度の生活リズムができます。
人間だけなら、「今日は休みだから昼まで寝よう」という日もあるでしょう。
でも犬は、「今日は日曜日だから朝ご飯は3時間遅くてもいいよ」とはなかなか言ってくれません。
いつもの時間になると起こしに来る子もいます。
これは飼い主さんにとって大変なところでもありますが、毎日の生活に一定のリズムを作ってくれる存在とも考えることができます。

犬を飼っている人では「要介護状態」についても興味深い研究
認知症以外にも、日本の同じ研究グループから興味深い結果が報告されています。
65歳以上の地域在住高齢者11,233人を対象とした研究では、約3.5年間の追跡中、現在犬を飼っていた人は犬を一度も飼ったことがない人と比較して、要介護状態になるオッズが低かったと報告されています。
そのオッズ比は0.54でした。
また、ここでも犬の飼育と運動習慣の組み合わせが注目されています。(PubMed Central (PMC))
一連の研究を見ていくと、「犬という動物が家に存在するだけ」というより、犬の世話によって運動や社会参加が継続しやすくなることが重要なのではないか、という考え方が見えてきます。
実は「猫」では同じ結果にならなかった研究も
2023年の約11,200人の研究では、犬だけでなく猫についても調べています。
現在犬を飼っていた人では要介護認知症発症のオッズ比が0.60だったのに対し、現在猫を飼っている人では0.98で、統計的に明確な低下は確認されませんでした。(PubMed)
だからといって、「猫には健康上のメリットがない」という意味では決してありません。
猫にも人間との交流や精神面など、別の可能性があります。
ただ、この研究から考えると、『犬の場合には「散歩」という特殊な生活習慣がある』ことが一つのポイントなのかもしれません。
- 犬を飼う。
- 毎日散歩する。
- 歩く。
- 外へ出る。
- 人や地域と接する。
こうした一連の行動がセットになりやすいからです。
世界の研究ではどうなの?
ここも公平に見ておく必要があります。
2026年に発表された、ペット飼育と認知症発症に関するシステマティックレビューでは、これまでの研究結果は必ずしもすべて一致していないことが報告されています。
認知症発症を直接扱った研究自体がまだ少なく、研究方法も異なるため、現時点では統合して「ペットを飼えば認知症が○%減る」と結論付けられる段階ではありません。
このレビューでは、対象となった研究の中で犬を中心としたペット飼育に保護的な関連を示した研究がある一方、明確な関連を認めなかった研究もありました。
また研究者らは、単純な「ペットを所有しているか」だけでなく、どんな動物と暮らしているのか、散歩などどのような行動をしているのかが重要なのではないかと指摘しています。(PubMed)
これは今回紹介した日本の研究結果とも非常に興味深くつながっています。
「犬を飼おう!」と安易におすすめする話ではありません
ここもESTRELLAとして非常に大切にしたいところです。
この記事を読んで、「認知症対策になるなら、高齢の両親に犬をプレゼントしよう」とは考えないでください。
犬は健康器具ではありません。
命です。
10年、15年、それ以上一緒に生活する可能性があります。
- ご飯。
- 散歩。
- トリミング。
- ワクチン。
- 予防。
- 動物病院。
- 介護。
- 経済的負担。
- 毎日の世話。
すべてが必要です。
そして、高齢になってから子犬を迎える場合には、犬より先に飼い主さん自身が犬のお世話を続けられなくなる可能性についても必ず考えなければいけません。
もし入院したら誰が犬を見るのか。
施設へ入ることになったらどうするのか。
散歩が難しくなったら誰が代わるのか。
家族が引き取れるのか。
こうしたことまで含めて考えて初めて、「犬を迎える準備ができている」と言えます。

「認知症予防のために犬を飼う」ではなく、「犬と暮らす生活」に注目したい
今回の研究から私たちが学べる一番大きなことは、「犬を買えば健康になれる」という話ではないと思っています。
注目したいのは、犬と暮らしていることで、人間側にもさまざまな行動が自然に生まれているということです。
- 毎日歩く。
- 外へ出る。
- 人と話す。
- 犬に話しかける。
- 犬の様子を考える。
- 生活の時間が決まる。
- 自分を必要とする存在がいる。
こうしたことは、犬と暮らしている私たちにとって当たり前すぎて、普段は気づかないことかもしれません。
でも、その「当たり前」が実は人間側の生活にも大きな影響を与えている可能性があります。
2026年研究では医療・介護費についても試算
さらに2026年の研究が面白いのは、健康面だけでなく経済面についても分析しているところです。
研究チームは犬と暮らす高齢者が増えると仮定した場合の予算影響も分析しています。
国立環境研究所の発表によると、犬の飼育率が13.4%に増えると仮定したシナリオでは、犬の飼育に伴う家計負担まで含めた社会全体では当然大きな追加支出が発生します。
一方、公的支払者の視点では、医療・介護費が4年間で約5,920億円削減される可能性が試算されました。(日本環境省)
もちろん、これは「実際に5,920億円節約された」という意味ではありません。
研究データをもとに条件を設定したシミュレーションによる推計です。
それでも、犬との暮らしを単なる趣味や娯楽ではなく、健康や社会とのつながりを含めた公衆衛生という視点から研究していることは非常に興味深いと思います。
数字だけでは表せない「犬と暮らすこと」
研究では、オッズ比「0.52。0.60。0.37。0.41。」と数字で示されます。
でも、犬を飼っている私たちが毎日感じているものは、数字ではありません。
朝、顔を舐めて起こされる。
玄関で散歩を待っている。
帰宅すると全身で喜んでくれる。
落ち込んでいると隣に座る。
一緒に旅行へ行く。
公園へ行く。
犬友達ができる。
子犬だった犬が少しずつ成長していく。
そしていつかは、人間より先に年を取っていきます。
そのすべてを含めて、「犬と暮らす」ということなのだと思います。
ミニチュアシュナウザーと暮らすことは「毎日を共有すること」
私たちESTRELLAは、ミニチュアシュナウザーと日々生活しています。
シュナウザーはとても人との距離が近い犬です。
こちらをよく見て、よく考え、よく主張し、そして家族と深く関わります。
「散歩に行こう」「遊ぼう」「ご飯はまだ?」と毎日のように私たちへ働きかけてきます。
もちろん、犬との生活は楽しいことだけではありません。
雨の日の散歩。
トイレの失敗。
子犬の甘噛み。
しつけ。
病気。
老犬介護。
大変なこともあります。
それでも、犬がいることで外へ出た。
犬がいたから人と話した。
犬がいたから旅行へ行った。
犬がいたから笑った。
そんな経験をされている飼い主さんは、とても多いのではないでしょうか。
今回の研究は、私たちが感覚的に感じてきた、「犬は人間の生活そのものを変える存在なのかもしれない」ということを、科学的な視点から考えるきっかけを与えてくれています。

まとめ|犬が認知症を「治す」のではない。でも犬との暮らしには興味深い可能性がある
今回ご紹介した日本の研究では、約11,200人の高齢者を対象とした長期追跡によって、現在犬を飼っている人では要介護認知症の発症が少ないという結果が報告されました。
2023年の約4年間の研究では、
- 現在犬を飼っている人のオッズ比【0.60】
2026年に公表された約7.5年間の研究で、より因果関係に踏み込んだ解析では、
- 現在犬を飼っている人のオッズ比【0.52】
という結果でした。(日本環境省)
そして2023年の研究では、
- 犬を飼っていて運動習慣がある人。
- 犬を飼っていて社会的孤立がない人。
こうした人たちで、さらに低いオッズ比が確認されています。(PubMed Central (PMC))
ここから見えてくるのは、「犬そのものが認知症を防ぐ」という単純な話ではないということです。
犬がいる。
だから散歩に行く。
歩く。
外へ出る。
人と会う。
会話する。
犬の世話をする。
生活に役割ができる。
毎日にリズムが生まれる。
こうした、「犬と一緒だから続いている生活」が、人間の身体的・社会的な活動と結びついている可能性があります。
だから私たちはこの記事を、「認知症になりたくなければ犬を飼いましょう」という結論にはしたくありません。
むしろ、すでに犬と暮らしている皆さんに、「毎日の散歩や何気ない犬との時間は、自分自身の人生にも大切な意味を持っているのかもしれない」と感じていただければと思います。
犬は薬ではありません。
健康器具でもありません。
家族です。
そして私たち人間が犬の一生を支えているように、気づかないところで犬たちもまた、私たちの毎日の生活を支えてくれているのかもしれません。
明日の散歩も、「行かなければいけない散歩」ではなく、愛犬と一緒に歩ける時間。
そう考えて外へ出てみると、いつもの景色が少し違って見えるかもしれません。
この記事で紹介した主な研究・参考資料
国立環境研究所・東京都健康長寿医療センター(2026年8月18日)
「犬と暮らす高齢者が増えると4年間で約5,920億円の公的支出削減―約11,200名の地域在住高齢者を対象とした7.5年間の大規模疫学研究―」
約11,224人を7.5年間追跡した最新研究について、研究方法、認知症発症との関連、医療・介護費の試算が日本語で詳しく解説されています。
国立環境研究所の研究発表を読む
Taniguchi Y, et al.(2026)
“Investigating the Potential Protective Effect of Dog Ownership on Incident Disabling Dementia and Its Cost-Effectiveness.”
11,224人を約7.5年間追跡。現在の犬飼育者では、犬を一度も飼ったことがない人と比較して、操作変数解析による要介護認知症発症のオッズ比0.52が報告されています。
PubMedで2026年の原著論文情報を見る
Taniguchi Y, et al.(2023)
“Protective effects of dog ownership against the onset of disabling dementia in older community-dwelling Japanese: A longitudinal study.”
11,194人を約4年間追跡。現在犬を飼っている人のオッズ比0.60、犬飼育+運動習慣では0.37、犬飼育+社会的孤立なしでは0.41という結果が報告されています。
PubMedで2023年の研究を見る
2023年研究・全文(オープンアクセス)
研究方法、対象者、統計解析、結果、研究者による考察まで全文を確認できます。
PMCで論文全文を読む
Minami K, et al.(2026) ペット飼育と認知症に関するシステマティックレビュー
これまでの縦断研究をまとめたレビューでは、犬を中心に保護的な関連を示した研究がある一方、研究数はまだ少なく、結果にもばらつきがあることが示されています。「ペットを飼っているか」だけでなく、犬の散歩など飼育に伴う行動が重要な可能性も指摘されています。
PubMedでシステマティックレビューを見る
- 本記事は、公表された疫学研究をもとに犬との暮らしと健康について考えることを目的とした一般的な情報です。犬の飼育が認知症の予防・治療効果を持つことを保証するものではありません。また、高齢者が新たに犬を迎える場合には、将来にわたり適切な飼育を継続できるか、家族によるサポートや万一の際の引き取り先なども含めて十分に検討することが大切です。
